シアトルぐらしのソフトウェアエンジニア

シアトルで暮らすソフトウェアエンジニアが、海外生活についてお届けします。

COVID-19新型コロナウイルス影響下のシアトル(2020年1月から5月まで)

COVID-19がアメリカに広まって数ヶ月となります。ワシントン州は、全米で一番早くに公式な感染ケースが報告された場所であるため、早くから緊張感がありました。本格的に生活が変わってから3ヶ月ほどですが、あまり記憶が古くならないうちに記録もたどりながら、時系列にまとめてみました。

2020年1月21日: 全米初の新型コロナウイルス例がワシントン州で報告される。

First Travel-related Case of 2019 Novel Coronavirus Detected in United States | CDC Online Newsroom | CDC

このときは日本でもまだダイヤモンド・プリンセス号すら到着していなかった時期で、広まり方もよくわかっていませんでした。ちょうどこの症例の人が1月15日にシアトルタコマ空港を利用した全く同じ日に、私も同じ空港を利用していたので、すごく近くに来たなと言う感じはありました。

ただ、その直後に起こったシアトル中心部での銃撃事件のほうが衝撃で、ニュースも周りの会話もそれ一色でした。

www.seattletimes.com

 

2020年2月 ヨーロッパの感染例がじわじわ増えてくる

シアトルはその後しばらく感染者が大きく増加することはなく、2月は日本(ダイヤモンド・プリンセス号)とイタリアの感染者数の増加が話題の中心でした。出社や出張も通常通り行われていました。

パラサイトのアカデミー賞作品賞受賞などが話題になり、2月16日に映画館に見に行った記録があります。

ただ、出張の制限は2月中旬から増えてきました。APACに行くのはなるべく控えるようにというお達しがありました。私は2月下旬に東京でイベントに参加する予定だったのですが、イベント自体がキャンセルになったので、出張も取りやめになりました。

日本やイタリアでの買い占め騒ぎを見ていたので、2月24日に保存食を中心に2週間分程度の買い出しを行い、万一自主隔離になったときに大丈夫なように備えました。また、日用品もAmazonで多めに手配しました。

ちょうど株価が急落し始めたのがこの頃ですが、株価以外では街はまだ通常運行でした。

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2月27日にダウが4.42%の急落

ところが、2月29日にInsleeワシントン州知事、3月3日にDurkanシアトル市長がそれぞれ緊急事態宣言を行い、街の雰囲気が急変します。

2020年3月 ニューヨークでの症例が急増する

3月3日に勤務先すぐ近くのSouth Lake UnionにあるAmazonキャンパスで、Amazon社員の最初の感染ケースが報告されたということで、一気に緊張感が増します。

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またしばらくすると、ニューヨークでのCOVID-19症例が急増しました。アメリカ国内出張の取りやめや、在宅勤務の奨励が行われたのがこの時期です。月の上旬はまだ外出規制などはなく、「自粛で乗り越えましょう」という雰囲気でした。

3月中旬になるとシアトルでも買い占めが発生します。缶詰や冷凍食品がスーパーから姿を消しました。また、Amazonでも配達の遅延や日用品の品切れが多発しました。

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空になった3月中旬のトレーダージョーズの棚

3月12日には公立学校の休校、3月15日にはレストランの休業命令など矢継ぎ早に対策が出されます。また、観光地から人が姿を消します。これは3月22日に Pike Place Market で撮影した写真です。普段は人が多くて思い通りに歩けないほどですが、この日は人の姿もまばらでした。

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3月22日のPike Place Marketの様子

この写真を撮影した翌3月23日、州知事から外出禁止令が発表されます。

www.seattletimes.com

 

もちろん食料品の買い物などは通常通りできるのですが、いろいろ品薄になっている上に social distancing ポリシーで店内の人数制限をした上に、人同士で約2m間隔を開ける必要があり、店の前には行列ができていました。

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スーパーの前にできる行列

2020年4月 新しい日常がやってきた

外出禁止令が出てしばらくすると、スーパーの品薄も解消し、在宅勤務にも少しずつ慣れてきます。ですが、それと同時に「これは長期化する」ということが段々と明らかになってきます。4月はワシントン州全体で感染者数が1万人を超え、毎日数百人の新規感染者が報告され、衰えがなかなか見えないという厳しい状況でした。4月2日には、当初2週間だった外出禁止令は5月2日まで延長され、4月6日には公立学校の年度内(7月まで)の休校が決まる、という状況でした。

最初はデリバリーと持ち帰り営業をしていたレストランも休業になったりと、どんどん状況が悪くなっていくのがわかりました。シアトル全体としてこれを乗り越えていこう、という「#WeGotThisSeattle」というキャンペーンが行われたりしました。街のシンボルであるスペースニードルに、スローガンを書いた旗が掲げられました。

 

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https://www.seattletimes.com/seattle-news/seattle-times-photos-of-the-day/ からの引用

そして4月中旬、CDCがそれまでの方針を転換し、マスクの推奨をするという大きな変化がやってきます。アメリカでは通常一般人はマスクをしない文化であり、この変化は衝撃でした。5月になると店内マスク義務化のお店が増えてきます。

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ドラッグストア入り口に貼られるマスク着用推奨のお知らせ

2020年5月 外出禁止令解除の道筋が発表される

5月上旬、州知事から外出禁止令解除に向けたロードマップが発表されます(詳しい情報はワシントン州のサイトで確認できます)

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ワシントン州の再開プラン

これは感染者数の変化に応じて、地域別段階別に経済活動を再開していくというものでした。そして、感染者数が再び増加に転じたり、減少しなかったりした場合には再開を遅らせる、または再度閉鎖をするという条件がついています。

5月22日時点での Seattle Times の記事によると、下記のような日程になっているようです。

6月1日にフェーズ2に移行。5人までの世帯以外の人との集まりや、美容室、不動産業、普段の50%での定員かつ一席あたり最大5人という条件でのレストランの開業などが許可される予定です。

6月22日にフェーズ3に移行。野外での50人以下のスポーツ、バー(定員の25%)、映画館(定員の50%)、図書館、博物館などの営業が再開される予定です。

7月13日にフェーズ4に移行。50人以上の集会、ナイトクラブ、コンサート、スポーツイベントなどが解禁される予定です。ただし他人との間隔は2m程度保つことが推奨されます。

どのフェーズでも在宅勤務は推奨され、フェーズ4になっても完全に昨年までの日常は戻ってこない様子です。

 

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品揃えの戻るスーパー店内

終わりに

勤務先からは年内は原則在宅勤務になるという見通しが伝えられたので、家で快適に仕事ができるような環境づくりを行いました(これについては別途また記事を書こうと思います)。また、ビザの発給が取りやめられ、グリーンカードの処理に遅れが生じたり、一部発給が中止になったりと、出稼ぎ労働者にとっては不安になるようなニュースが続きます。

以前のように海外旅行ができるようになるのは来年移行になるのは間違いなく、日本に行くこともできないなどの残念な点もあります。それでもアメリカの失業者が2割を突破しようとしている中、少なくとも仕事があり、当面のアメリカ滞在はできるということで、これからもがんばっていきたいと思っています。