シアトルぐらしのソフトウェアエンジニア

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シアトルでのアパート探し(契約編)

アパートの物件探しについては以前に書いた記事を参照ください。

seattle-life.hatenablog.com

 

今回は住む物件を決めたあと、実際に入居するまでの実例を紹介します。

アパート契約の流れ

今回は大手不動産会社の物件に住むことにしたので、形式の整った手続きで契約・入居となりました。これが個人で大家をしているような物件に住む場合であればまた異なるかもしれません。

契約・入居までの流れはおおむね次のとおりです。

  1. 物件を決め、申込みをする
  2. 入居審査が行われる
  3. 契約書を受け取り、サインする
  4. 賃貸保険に加入する
  5. 初期費用を支払い、入居

順を追って見ていきましょう。

物件を決め、申込みをする

日本と同じように、物件を決めて入居する意思表示を行い、入居申し込みをすることが第一歩です。日本と異なるのはこの時点で申込み費用が発生し、キャンセル時には返却不可となることです。入居者一人に付き数十ドルというのが多いようでした。入居申し込みの際に身分証明書なども提出します。アメリカに来たばかりであればオファーレター、そうでなければ過去3ヶ月分程度の給与明細も審査のために要求されます。

私が契約した物件は大手会社だったためか、申込みはwebから行いました。と言っても内見のときに担当者の目の前でやったので、半分対面です。必要項目を入力して、クレジットカードで費用を支払い、申込み完了です。申込みの時点では契約書の本体は見ませんでしたが、契約の条件、費用などについてはよく確認しましょう。

シアトルでユニークなのは下水道接続費(Sewage treatment capacity charge)が毎月数十ドルかかるところです。これは建設された年によって異なり(基本は新しいほど高い)、15年で支払いが完了します。意外と大きな金額で、契約書をもらってから存在を知って驚きました。物件によっては光熱費が家賃に含まれていることもあるそうなので、念のため聞いてみると良いでしょう。

入居審査

入居審査は通常SSNに紐づくクレジットスコアなどをベースに行われるようですが、私は渡米直後だったのでSSNを持っていませんでした。そこで、雇用主や年収を証明するオファーレターをもとに審査が行われました。この際、信用が十分でないと追加のdeposit(敷金)を要求されたりするようです。シアトルでは海外から移り住んでくる労働者が多いので、その対応に慣れているようでした。「AmazonMicrosoft のような大手企業がどんどん外国人を採用するので、外国人労働者は全く珍しくない。それなりの年収があればまず大丈夫」とも言われました。

私の場合は通常400ドルのdepositで良いところ、追加で1ヶ月分の家賃相当額が必要になりました。非常に大きな差額ですが、東京の2ヶ月が相場の敷金と比べるとそれでも安く感じてしまいました。

入居審査にかかる時間はまちまちでしょうが、私はアパート見学が終わったあとその場で申し込んだため、すぐに係の人が審査結果を出してくれました。申込書の記入開始から時間にして1時間ほどの手続きで、アパートが押さえられ、入居可能な状態になりました。

契約書の受け取りとサイン

入居審査が完了したのち、数日で契約書が送られてきてサインをすることになります。ここは日本と異なり、 Adobe の Docusign で PDF が送られてきて、電子的に手続きが全て行われました。

日本のアパートの契約書は数ページから長くても十数ページのことが多いと思いますが、私が受け取った契約書一式は64ページありました。案内ページやチェックリストなどもあるので、すべて文字というわけではありませんが、なかなかの分量です。がんばって読みました。

私の契約した会社は全米アパート協会(National Apartment Association)の雛形契約書をそのまま使っていたので、強調されているところや自由記入欄に注意して読みました。全米アパート協会の標準契約書は次のようなフォーマットになっていて、空欄を埋めていく方式です。カスタムの契約書の場合には注意が必要でしょう。

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全米アパート協会の契約書雛形

賃貸保険に加入する

大手不動産会社であれば、加入の条件として賃貸保険(renters insurance)への加入が義務付けられていると思います。そうでなくても後々のトラブルを考えると加入がおすすめです。

申込画面で不動産会社が提携している保険会社を勧められましたが、非常に割高でしたので自分で探すことにしました。アメリカは州によって使える保険会社が異なります。ニューヨークなどであれば Lemonade がよくおすすめされているようですが、ワシントン州では契約できませんでしたので、私は何社か見積もりを出して最終的に State Farm にしました。選んだ基準は安かったことと、ネットでの評価が高かったことです。

保険に加入するときには、必要な賠償責任金額などが指定されると思うので、条件を確認しましょう。また、私の場合は不動産会社を party of interest に指定するように言われました。これは契約内容の変更、解約などが行われたときに通知が行くようにする仕組みのようです。指定通りの連絡先を保険会社に伝えれば大丈夫です。

保険業界の慣習だと思いますが、webで見積もりを出すとすぐに営業担当から電話がかかってきます。契約準備ができていなければ「複数社比較しているので申し込むときにはこちらから連絡する」と伝えて待ってもらいましょう。最終的な申込みのときは、電話口で口頭でクレジットカード番号を伝えることで料金を払いました。

保険の契約証書のコピーを不動産会社に提出すれば手続き完了です。

初期費用の支払いと入居

私の物件では入居の前日までに初期費用(初月分の家賃とsecurity deposit)を払うことが条件でした。支払いは専用のページから行うのですが、銀行引き落とし以外だと手数料がかかることもあり、銀行引き落としにしました。Auto Payという毎月の自動支払いを有効にしておくと払い忘れが無くて助かります。契約書には4日以上の遅れで自動的に債権回収会社に引き渡され、追加の手数料かかるとありました。十分注意しましょう。

入居日が決まったら、下記のような手続きをしておくとスムーズだと思います。

  • 引っ越し会社へ荷物搬入の連絡
  • インターネット接続の加入手続き
  • USPS(郵便局)への転居連絡
  • 会社への連絡

私の物件の場合は電気・ガス・水道の手続きは不動産会社が代行してくれました。また電気は直接支払いですが、ガスと水道に関しては不動産会社を経由して家賃と一緒に支払うので、手続きも不要でした。

入居のときに、日本と同じく立ち会いがあります。すでに付いている傷や故障などをきちんと確認し、チェックリストに記入してもらい退去のときに請求されないようにしましょう。また不具合に関してはきちんと直してもらいます(これは内見のときに直してもらえるか確認しておくと良いでしょう)。

以上がアパートを決めてから入居するまでの流れです。日本と大きく違うのは契約書周りと電気・ガス・水道などの手続きでしょうか。順を追っていけば難しいところは無いものの、書類が多くて大変でした。入居時のひと頑張りが入居中と退去時のトラブルを防ぐと思ってがんばりました。