シアトルぐらしのソフトウェアエンジニア

シアトルで暮らすソフトウェアエンジニアが、海外生活についてお届けします。

アメリカの労働者ビザが停止され、新規の就業が不能に

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本日6月22日に、トランプ大統領非移民労働者のビザを停止する大統領令に署名しました。ここ1,2週間ほどずっと噂されていましたが、ついにという感じです。

www.businessinsider.com

当然のことながら私は移民弁護士ではありませんので、内容の正確性については保証しかねますし、個別の内容については直接弁護士に相談されることをおすすめします。

何が停止されたのか

下記のビザを使ってのアメリカへの入国が6月24日午前0時1分(東海岸夏時間)をもって停止されます。

  • H-1B ビザ: アメリカ企業で働く特殊技能職ビザで、ソフトウェアエンジニアはだいたいこのビザで入国することになります。
  • L-1 ビザ: いわゆる駐在員ビザで、多国籍企業が社員を異動させるのに使います。外資の日本法人からアメリカ法人に異動するパターン、日本企業がアメリカに駐在員を送る両方のパターンが対象です。 L-1A(管理職) と L-1B(専門職) の両方が対象です。
  • J-1 ビザ: 訪問交流者ビザ。大学にいる研究者や企業のインターンで使われる中期滞在用ビザです。今回含まれるのはインターン、研修生、教師、キャンプカウンセラー、au pair(住み込み家事手伝い)、サマー・ワーク&トラベルプログラムです。
  • H-2B ビザ: 短期就労者ビザ。H-1B に含まれないような一時的な需要や季節労働者(例えばスキーリゾートなど)が対象です。

また、上記のビザに紐づく配偶者ビザも対象です。4月から停止されているグリーンカードの新規発行制限は延長されました。

ただし、この大統領令が有効になった瞬間に有効なビザを持っている人、アメリカ国内にいる人、ビザ以外の渡航書類を持っている人(例えば advance parole)は対象外です。ここの読み方が曖昧な点があって、移民弁護士内でも見解が分かれているようです。

それ以外に、グリーンカードの申請カテゴリEB-2, EB-3の見直し、H-1Bの割当方法の見直し、ビザ申請前に生体情報の提出を求める変更、逮捕歴や国外退去歴のある人の労働許可の取り消しなどの変更が記述されています。

有効期限は2020年12月31日までですが、期限の延長が可能です。

エンジニア周りでは誰が困るのか

ほぼ全員です。一部博士号を持っていて世界的な研究成果があるなど特別な要件を満たす人は O-1 ビザを取れますが、それ以外の人はだいたい H-1B ビザまたは L-1 ビザでアメリカに来るでしょう。

特に困るのは今年 H-1B ビザの抽選に通って、この10月から働く人たちです。H-1B ビザは毎年数が決まっていて、4月に抽選し10月から有効になるのですが、この数万人がアメリカ企業での内定が危うい状態になります。この大統領令は特にこの H-1B ビザ新規発給者を狙い撃ちにしていると言われています。

すでにアメリカで働いている人はすぐに国外退去にはなりませんが、年末までにビザが切れる場合にはややこしいことになります(いちおう更新は可能との情報です)。また、仮に現在ビザ更新のために海外に居た場合には再度入国できません。

ビザの更新はできるの?

報道や弁護士見解によると、アメリカ国内でのビザステータスの更新はできるようです。

他にどんな人が入国できなくなる?

この大統領令ではOビザ、Eビザ以外のほぼすべての非移民労働者が対象となり、年間のビザ発給数は52万件にもおよび、半年間も止まると数十万人の人およびその家族に影響が出ます。

エンジニア以外にはどのような例が考えられるでしょうか。いくつか具体例を出してみましょう。

  • トヨタ自動車フォルクスワーゲンなどの外資企業がアメリカ国内で工場を持っているときに、本国から管理職や役員を送り込むことができません。新規に投資したい場合もビザは降りません。
  • 日本の商社から駐在に行っている人が期限を迎えても代わりの人を送ることはできません。
  • アメリカ地方の病院で海外からの医者を迎えることになっていた場合、その医者は来ることはできません。
  • アメリカの学校が外国語教師などをJ-1ビザで呼ぼうとしていた場合、そのビザは降りません。
  • アメリカ国内に家を持っていても、ビザの更新のために一時帰国していた場合、年末までに再入国ができなくなります。

どんな悪影響が考えられる?

アメリカの移民は長らくアメリカの競争力の源泉でした。移民一世または二世によって創業されて、大きくなった会社の例を上げると

などです。Fortune 500の会社の45%を占めるとも言われます。莫大な富と雇用を生み出したこれらの会社が、もし存在しなかったらどうなるでしょう?移民一人あたり1.2人の新しい雇用が生み出されているという声もあります。

アメリカ国内ではおよそ700万人以上が外資企業によって雇用されています。この人たちの管理職や経営者となる人たちが入国できなくなるため、投資計画の見直しや縮小が懸念されます。COVID-19のあとに新規に投資計画があったとしてもビザは降りません。メキシコやカナダへの流出が考えられます。

アメリカの大学に行ってその後就職しようとしていた人も、この不安定な状況を見て考え直すかもしれません。アメリカの大学の学費は多くが留学生によって負担されています

もしかすると報復のために、アメリカ人のビザを制限する国が出てくるかもしれません。870万人のアメリカ人が海外に住んでいて、その中の全員では無いものの多くの人が海外で働いています。この人たちの滞在資格がなくなり、職を失うかもしれません。

多くのアメリカ人は移民はアメリカ人がやらない仕事をしていると考えています。下のグラフでは、薄い色の割合が「移民はアメリカ人がやりたがらない仕事をしている」と考える人の割合です。アメリカ人全体で見ても64%がそう考えています。 

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https://www.pewresearch.org/fact-tank/2020/06/10/a-majority-of-americans-say-immigrants-mostly-fill-jobs-u-s-citizens-do-not-want/ より

トランプは何をしようとしている?

トータルで見て何も得になるとは思えません。こういった労働者ビザは、そもそも発行されるときに「アメリカ人では代わりにならない」ことを求められるので、外国人労働者が居なくなってもアメリカ人の雇用が増えるわけではありません。それどころか減る可能性さえあります。

大統領令には「外国人労働者アメリカ人の雇用にとって脅威」などの強い言葉が並びます。単にCOVID-19に伴う失業者増加を言い訳にして、移民を排斥しようとしているかのようです。11月の選挙をにらんだ有権者へのアピールも考えられます。

これらの外国人排斥につながる動きの後ろには、Stephen Miller (スティーブン・ミラー) がいると言われています。メキシコ国境で親子を引き離したり、国内にいるビザ無し移民を拘束して退去させたりと強行的な政策を立案しているのは、この人物です。

www.businessinsider.jp

www.politico.com

大統領令一つで何十万人の人間が不幸になっているという事実をもっと広く知ってもらいたいです。万が一延長された場合には、さらに影響が大きくなるでしょう。

シアトル キャピトル・ヒル抗議地区(CHOP)に行ってきました

先日、シアトルでのBlack Lives Matterに関連した抗議活動の様子を記事にしましたが、その中で取り上げたキャピトル・ヒル抗議地区(Capitol Hill Organized Protest, 略称CHOP。以前の名前はキャピトル・ヒル自治区 Capitol Hill Autonomous Zone/CHAZ)に出かけてきましたので、その様子をまとめます。

以前の記事はここにリンクを貼っておきます。

seattle-life.hatenablog.com

キャピトル・ヒル抗議地区の様子

今回は地元の友人と一緒に行ってきました。天気が良かったのもあって、そこそこの人手でした。抗議参加者の個人情報には機微な点があるので、人が特定できる形での写真は掲載していません。イメージがわかりやすいように、Google Mapsのリンクも掲載します。

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Broadway と E Pine 通り交差点

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ここは抗議地区から1ブロックほど離れた大通りで、店舗に板が貼られてはいるものの、それを除けば普段とそんなに雰囲気は変わりませんでした。手前には Seattle Central College があり、毎週日曜日にはファーマーズマーケットが開かれていた場所です。線路が見えることからわかるようにここは路面電車が走っていて、普段どおりに運行していました。LGBTQフレンドリーなこの地区の象徴でもある虹色の横断歩道が奥に見えます。

ここから東方面に歩くと抗議地区の入り口になります(出入り口は一つではありませんが、良くニュースに取り上げられる場所です)。

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CHOP抗議地区境界

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見てわかるようにバリケードが設置(もともと設置したのは警察だと思いますが)され、車が進入できないようになっています。この交差点までは普通に車が来ていて、この写真を撮影している交差点で右折していました。特に検問などがあるわけではなく、誰もが自由に出入りできるようになっています。

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Black Lives Matter ストリートペイントの様子

入るとすぐに Black Lives Matter のストリートペイントがあります。描かれてから1週間近く経って、少し色あせてはいるものの、ほぼそのまま残っていました。右側に見えるレストランは抗議地区の中にありますが、営業しています。また、通りには屋台を出して食べ物を提供する屋台の姿もありました。

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通りの屋台

この通りの北側には、付近で最大のカル・アンダーソン公園(Cal Anderson Park)があります。公園に入ると、スローガンが書かれたバナーが飛び込んできました。

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Cal Anderson Park 入り口

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この奥にはたくさんの人が見えますが、みな思い思いに週末を楽しんでいる感じでした。キャッチボールやフリスビーをやっている人、犬の散歩をしている人、座って友人と談笑する人、様々です。このさらに奥には Twitter によく掲載されている農園がありました。なぜ農園かと言うと、農地の保有者には大きな人種間格差があるからです。もちろん白人以外には所有が許されなかったり、財産が奪われたりしたという歴史があります。

時間の経過とともにかなり改良されていて、一部で流通している写真とは全く雰囲気が違いました。隣には温室があったり、場所によってはパイプが張り巡らされていて水が流れるようになっていたりと、工夫が見えました。ただ、この公園を恒久的に農園として使うコンセンサスが住民の間で取れているとは思えず、公園は公園として利用したい人もいますから、この先どうなっていくのかはわかりません。パフォーマンスとしては良いかもしれませんが、本格的な農場というわけではないと思います。

公園を出て南東に歩くと、警察が放棄した East Pricinct (東分署)があります。

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シアトル警察東分署(East Pricinct)

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"Police" の文字は "People" と上書きされ、多数の落書きとアートが展示されています。この横には過去にワシントン州で警察官に殺された人の顔写真一覧もありました。写真には掲載していませんが、小学生ぐらいの子どもから大人まで色んな人が前で立ち止まり、様子を見ていました。

さて、いかがでしょうか?私は特に危険を感じることはありませんでした。シアトル市のダーカン市長が「近所のお祭り」のようだと言っていましたが、確かに屋台が出ていたり音楽の演奏があったりする一面はそう見えるかもしれません。真っすぐ歩けば5分ほどで突っ切れますし、シアトル全体が混乱に陥っているのとは程遠い状態です。

ただし、写真にもあるように落書きは多く、車の通行もできない状態で、普段のキャピトル・ヒルとは違う雰囲気になってしまったことは否めません。この膠着状態のまま、20日土曜日未明に悲劇が起こります。

20日未明の銃撃事件

6月20日土曜日の未明に、この抗議地区内で銃撃事件が発生します。このシアトル・タイムズの記事が前後関係も含めよくまとまっているのですが、概要を説明します。

www.seattletimes.com

午前2時頃に地区内で銃声があり、一人が死亡、一人が重症を負います。911で救急通報を行うものの、到着した消防隊は地区から1ブロック離れたところで警察の到着を待機、中には入りませんでした。少し遅れて警察が到着したものの、6,7人で盾と銃をかまえ隊列を組んで入ろうとして集団に阻止されます(この動画の19分ぐらいのところからです)。

この警察との衝突の一方でボランティアの救護隊が犠牲者を自家用車でシアトルにある救急センターまで搬送します。残念ながら搬送の後に死亡が確認されました。その後、別のけが人が目撃されもう一度911通報があります。場所はバリケードの外でしたが救急車は来ないことが明らかになり、こちらもボランティアの手で救急センターに搬送され治療を受けています。

犯人は逃走し、捕まっていません。この事件は様々な意味で波紋を呼びました。

ひとつは、救急要請があったにもかかわらず救急車が来なかったことです。「警察の居ない場所」を作ったつもりが、「医療アクセスの無い、救急隊の来ない場所」にもなってしまったのです。救急隊員の安全確保は必要ですから、銃撃のあった場所に警察の援護なしに入っていけない救急隊の事情も理解できます。すでに「自治区」という看板を下ろした抗議地区ですが、現代のインフラなしに生活することは大変な困難であり、それまで大事になっていなかった課題が明らかになりました。

もうひとつは、銃撃が発生し犠牲者が出たことです。確かにアメリカでは頻繁に銃撃が発生しますが、それでもキャピトル・ヒルは活気のある人気地区で、特に治安が悪くて避けるような場所ではありません。実際に私もキャピトル・ヒルのアパートに住むことを検討したことがあります。

抗議活動が長引くにつれて様々な人が出入りするようになり、以前と雰囲気が変わってきたと訴える地元商店の声が記事には取り上げられています。抗議活動の趣旨には賛成するものの、安全が脅かされるような事態は避けたいのは当然です。また友人からの又聞きですが、この地域に住む住人の中にも、昼夜問わずたくさんの人がいることによる騒音、落書きやゴミの増加、全体的な雰囲気の悪化に不満を持つ声があるようです。

確かに警察が撤退し、昼夜催涙ガスが飛び交うような暴力的な状況では無くなりました。それが長期持続可能な、新しい社会の形にはなかなか繋がっていない状態です。

政治的リーダーシップ不在の状況

以前も書きましたが、この抗議地区は単一の組織が仕切って発生したものではなく、自然発生的に出来たもののようです。そのため組織として統率があまり取れていなかったり、中心となる人物が変わったりしてコミュニケーションが難しいという声が上の新聞記事に紹介されています。

シアトルの話題ではこの抗議地区の様子ばかりが取り上げられますが、もっと大きな平和的行進は同じようなメディアの注目を集めません。6月13日のサイレントマーチには主催者発表で6万人の人が参加しました。これはメディアも反省しなければならないと個人的に思いますが、やはりセンセーショナルな話が先行してしまうのです。

www.seattletimes.com

Black Lives Matter の運動、警察の改革に関してはこのように賛同する人が多くいる状況ですが、なかなか政治的な動きになってきません。実際にBlack Lives Matterシアトル・キング郡の要求内容には警察や司法制度の改革も含まれています。

シアトル市長やワシントン州知事、それに議会は、抗議活動と警察組織両方に良い顔をするのではなく、実際に行動を伴ったリーダーシップが求められているのではないでしょうか。そして、全米レベルではもちろん連邦議会ホワイトハウスのリーダーシップがあるべきです。抗議活動はシアトルだけの話ではありません。

"Defund the police"と単に言うと、警察が無くなるような状態を想像するかもしれませんが、実際にはそうではありません。実現可能性のあるたくさんの案が提案され、議論されています。もう少し詳しい内容や、現状の問題点の参考になるYouTubeビデオを紹介します。

ひとつはコメディアン John Oliver による警察特集です。HBOの政治風刺番組で、深夜に放送され、時々放送禁止用語や下品なジョークも混ざります(職場では見ないほうが良いかもしれません)が、問題点がよくまとまっていて入門として良いと思います。

youtu.be

もうひとつは法律系YouTuber、 LegalEagle による制度改革の提案紹介です。こちらは淡々と様々な提案内容を説明していく動画ですが、単に警察をなくす、資金を引き上げるという話だけではないことが理解できると思います。

youtu.be

終わりに

キャピトル・ヒル抗議地区の様々な面を取り上げるこの記事を書いたのは、日本語でのニュースがあまりにも実態を反映しておらず、Twitterにもミスリーディングな情報ばかりが掲載される現状が許せなかったからです。この記事には良い面だけではなく、土曜日の銃撃も含め課題も書いたつもりです。シアトル市民として個人の意見を言うならば、「趣旨には賛成するものの、この形態は持続可能ではない。政治の変化も含め恒久的な変化にしていく必要がある」と思います。

市民は声を上げました。政治が行動を起こす時でしょう。

シアトルでの人種差別抗議活動と自治区の様子

前回のコロナウイルスとシアトルの記事を書いてすぐ、ジョージ・フロイドさんが警察官に殺され、それを発端とする抗議活動が全米に広がりました。ここシアトルも例外ではなく、たいへん大きな抗議活動が起こり、それに便乗した暴動も発生してしまいました。

警察力と人種差別

ここまで大きな話になったのには、黒人に対する構造的人種差別と、アメリカの警察官の暴力性が混ざりあって大きなうねりになったという理由があります。アメリカでは、毎年1,100人程度が警察官に殺されているという推計があります。日本では公務執行中の警察官が市民を殺害するというのはほぼ起こっていないようですから、ここに大きな隔たりがあります。もちろん殺されているのは黒人だけではありませんが、人口の13%を占める中、殺害される割合としては31%を占め、さらに特に攻撃もしていないのに殺される人の中では39%を占めています。他の人種の数倍の確率です。

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https://www.vox.com/identities/2016/8/13/17938186/police-shootings-killings-racism-racial-disparities より引用

さらに、ニューヨークの"Stop and frisk"(ランダムな職務質問と路上身体検査)に代表されるように、特に根拠もなく突然警察官に突然引き止められ、手荒に検査をされたり、時には逮捕されるということがあります。年間60万件前後の路上身体検査が行われた2010年前後には、対象となった人の実に87%が黒人とラティーノ(ラティーナ)で占められました。一方白人は10%程度です。その一方で人口比では(ヒスパニックを除く)白人が33%、黒人とラティーノが53%です。特に若い黒人男性やラティーノが対象となりやすいという統計があります。つまり、人種差別的な先入観に基づく政策が公然と行われているのです。

今回の抗議活動と警察との衝突

今回の抗議活動でも警察とデモ隊との衝突が大変多く発生しました。次のVOXの記事が多くをまとめています。中には見るのが辛いものもあります。アメリカでは抗議活動を行うことは憲法修正第一条に認められた市民の権利だという認識があり、平和的な活動を暴力で押さえつけようとしているとして大変問題になりました。

www.vox.com

シアトルでの抗議活動

最近、シアトルで Capitol Hill Autonomous Zone (キャピトル・ヒル自治区)というものができたというニュースを見たことがあるかもしれません。

この Capitol Hill というエリアは、おしゃれな飲食店が立ち並ぶシアトルでも人気のエリアで、特に若者に人気です。週末にはファーマーズマーケットも開催され、私もよくでかけていました。

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Capitol Hill ファーマーズマーケットの様子

シアトルでの抗議活動(デモ)は、一部を除き平和的に行われていました。ところが、警察がデモ隊に向けて催涙ガスやペッパースプレー、閃光弾を発射するということが相次ぎました。Capitol Hill でもデモが盛んに行われ、警察との衝突も多かった場所です。6月1日には取材中のメディアが警察に閃光弾を撃たれるという事件も発生しています。

6月5日にはシアトル市長が催涙ガスの使用を禁止する命令を出します。ところが、この命令を無視した形で、数日後に再び催涙ガスが使用されてしまいます。

 

これに対抗してさらに抗議は続きます。ちょうどCapitol Hillには東分署(East Precinct)があり、そこでの抗議も激化しました。政治家もデモに参加し、警察への批判は続きます。そして数日後... 正確な理由は不明のまま、警察は東分署からの撤退を行いました。

こうして、Capitol Hill は警察の暴力に対する一つの答えとして、象徴的な場所となりました。

www.seattletimes.com

キャピトル・ヒル自治区とその反応

この「自治区」はどうやら単一の組織が作り上げたものではなく、自然発生的に地域の人間が作り出したもののようです。飲食店や商店は無料の水や軽食を用意したり、人々が自主的に日用品を寄贈して譲り合うなどの光景が見られています。中心となる交差点では人々が思い思いにスピーチを行って、人が集まっています。

 また夜には映画鑑賞会が開かれたり、まるでお祭りのようです。実際、そういう感じなんだと思います。

最近では Black Lives Matter のストリートペイントも完成しました。

私はまだここに足を踏み入れていません。ですが、近くに住んでいる同僚の話を聞くと、平和的でシアトルらしさのある抗議活動になっているとのことです。参加している人たちの中にもこの状態が長く続くとは思っていないし、これが最終的な解決にはなっていないことは承知している人もいるようです。その一方で悪のりする人が出てきたり、これに便乗した騒ぎも発生はしているようです。

この状態を好ましく思わない人たちがいます。そうですね、トランプ大統領とその支持者です。

ワシントン州知事とシアトル市長に対して Twitter 上で罵り、対する知事と市長も応戦します。

www.npr.org

軍隊を派遣して鎮圧することもちらつかせますが、州知事が拒否します。アメリカでは、州知事の同意なしに大統領が軍隊を派遣することはできないようになっています。そして、様々なメディアで「商店がみかじめ料を請求されている」「警察が立ち入れない」などのでまかせが流れています。Fox News は加工した写真やミネアポリスの写真を使ってミスリーディングな記事を掲載し、世論を誘導しようとしています。

このあとどうなっていくのかはわかりません。現状は警察との暴力的な衝突よりは良いとは思いますが、持続可能だとは思いませんし、自治区の要求事項も実現可能ではないと批判されています。本来であれば大統領を始めとしたリーダーが落とし所を見つけていくのですが、その素振りも見せません。出口の見えないことが一番困りますね。

シアトルのそれ以外の地区

今日は大規模なサイレントマーチ(静かな抗議活動)が行われて、デモに参加するために早めに閉店した商店もありました。

この動画でわかるように、声を立てずただ静かに抗議をしています。

こういったことはあるものの、それ以外の日常生活には変わりはありません。今日はスーパーに買い物に行ってきましたが、COVID-19のために人通りが少ない以外は普段どおりです。Capitol Hill までは車で10分ほどの距離のところに住んでいますが、別世界です。

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Lake Union 近くの公園

シアトル市民が全員抗議活動に参加しているわけではないですし、全員がその手法に賛同しているわけでもありません。また、抗議活動も単一の組織が仕切っているわけではなく、それぞれ個別に連携を取りながら行われています。ですが、多くのシアトル市民は人種差別がなく、誰もが警察の暴力を受けずに過ごせる日が来ることを願っているのではないでしょうか。

COVID-19新型コロナウイルス影響下のシアトル(2020年1月から5月まで)

COVID-19がアメリカに広まって数ヶ月となります。ワシントン州は、全米で一番早くに公式な感染ケースが報告された場所であるため、早くから緊張感がありました。本格的に生活が変わってから3ヶ月ほどですが、あまり記憶が古くならないうちに記録もたどりながら、時系列にまとめてみました。

2020年1月21日: 全米初の新型コロナウイルス例がワシントン州で報告される。

First Travel-related Case of 2019 Novel Coronavirus Detected in United States | CDC Online Newsroom | CDC

このときは日本でもまだダイヤモンド・プリンセス号すら到着していなかった時期で、広まり方もよくわかっていませんでした。ちょうどこの症例の人が1月15日にシアトルタコマ空港を利用した全く同じ日に、私も同じ空港を利用していたので、すごく近くに来たなと言う感じはありました。

ただ、その直後に起こったシアトル中心部での銃撃事件のほうが衝撃で、ニュースも周りの会話もそれ一色でした。

www.seattletimes.com

 

2020年2月 ヨーロッパの感染例がじわじわ増えてくる

シアトルはその後しばらく感染者が大きく増加することはなく、2月は日本(ダイヤモンド・プリンセス号)とイタリアの感染者数の増加が話題の中心でした。出社や出張も通常通り行われていました。

パラサイトのアカデミー賞作品賞受賞などが話題になり、2月16日に映画館に見に行った記録があります。

ただ、出張の制限は2月中旬から増えてきました。APACに行くのはなるべく控えるようにというお達しがありました。私は2月下旬に東京でイベントに参加する予定だったのですが、イベント自体がキャンセルになったので、出張も取りやめになりました。

日本やイタリアでの買い占め騒ぎを見ていたので、2月24日に保存食を中心に2週間分程度の買い出しを行い、万一自主隔離になったときに大丈夫なように備えました。また、日用品もAmazonで多めに手配しました。

ちょうど株価が急落し始めたのがこの頃ですが、株価以外では街はまだ通常運行でした。

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2月27日にダウが4.42%の急落

ところが、2月29日にInsleeワシントン州知事、3月3日にDurkanシアトル市長がそれぞれ緊急事態宣言を行い、街の雰囲気が急変します。

2020年3月 ニューヨークでの症例が急増する

3月3日に勤務先すぐ近くのSouth Lake UnionにあるAmazonキャンパスで、Amazon社員の最初の感染ケースが報告されたということで、一気に緊張感が増します。

www.geekwire.com

またしばらくすると、ニューヨークでのCOVID-19症例が急増しました。アメリカ国内出張の取りやめや、在宅勤務の奨励が行われたのがこの時期です。月の上旬はまだ外出規制などはなく、「自粛で乗り越えましょう」という雰囲気でした。

3月中旬になるとシアトルでも買い占めが発生します。缶詰や冷凍食品がスーパーから姿を消しました。また、Amazonでも配達の遅延や日用品の品切れが多発しました。

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空になった3月中旬のトレーダージョーズの棚

3月12日には公立学校の休校、3月15日にはレストランの休業命令など矢継ぎ早に対策が出されます。また、観光地から人が姿を消します。これは3月22日に Pike Place Market で撮影した写真です。普段は人が多くて思い通りに歩けないほどですが、この日は人の姿もまばらでした。

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3月22日のPike Place Marketの様子

この写真を撮影した翌3月23日、州知事から外出禁止令が発表されます。

www.seattletimes.com

 

もちろん食料品の買い物などは通常通りできるのですが、いろいろ品薄になっている上に social distancing ポリシーで店内の人数制限をした上に、人同士で約2m間隔を開ける必要があり、店の前には行列ができていました。

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スーパーの前にできる行列

2020年4月 新しい日常がやってきた

外出禁止令が出てしばらくすると、スーパーの品薄も解消し、在宅勤務にも少しずつ慣れてきます。ですが、それと同時に「これは長期化する」ということが段々と明らかになってきます。4月はワシントン州全体で感染者数が1万人を超え、毎日数百人の新規感染者が報告され、衰えがなかなか見えないという厳しい状況でした。4月2日には、当初2週間だった外出禁止令は5月2日まで延長され、4月6日には公立学校の年度内(7月まで)の休校が決まる、という状況でした。

最初はデリバリーと持ち帰り営業をしていたレストランも休業になったりと、どんどん状況が悪くなっていくのがわかりました。シアトル全体としてこれを乗り越えていこう、という「#WeGotThisSeattle」というキャンペーンが行われたりしました。街のシンボルであるスペースニードルに、スローガンを書いた旗が掲げられました。

 

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https://www.seattletimes.com/seattle-news/seattle-times-photos-of-the-day/ からの引用

そして4月中旬、CDCがそれまでの方針を転換し、マスクの推奨をするという大きな変化がやってきます。アメリカでは通常一般人はマスクをしない文化であり、この変化は衝撃でした。5月になると店内マスク義務化のお店が増えてきます。

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ドラッグストア入り口に貼られるマスク着用推奨のお知らせ

2020年5月 外出禁止令解除の道筋が発表される

5月上旬、州知事から外出禁止令解除に向けたロードマップが発表されます(詳しい情報はワシントン州のサイトで確認できます)

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ワシントン州の再開プラン

これは感染者数の変化に応じて、地域別段階別に経済活動を再開していくというものでした。そして、感染者数が再び増加に転じたり、減少しなかったりした場合には再開を遅らせる、または再度閉鎖をするという条件がついています。

5月22日時点での Seattle Times の記事によると、下記のような日程になっているようです。

6月1日にフェーズ2に移行。5人までの世帯以外の人との集まりや、美容室、不動産業、普段の50%での定員かつ一席あたり最大5人という条件でのレストランの開業などが許可される予定です。

6月22日にフェーズ3に移行。野外での50人以下のスポーツ、バー(定員の25%)、映画館(定員の50%)、図書館、博物館などの営業が再開される予定です。

7月13日にフェーズ4に移行。50人以上の集会、ナイトクラブ、コンサート、スポーツイベントなどが解禁される予定です。ただし他人との間隔は2m程度保つことが推奨されます。

どのフェーズでも在宅勤務は推奨され、フェーズ4になっても完全に昨年までの日常は戻ってこない様子です。

 

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品揃えの戻るスーパー店内

終わりに

勤務先からは年内は原則在宅勤務になるという見通しが伝えられたので、家で快適に仕事ができるような環境づくりを行いました(これについては別途また記事を書こうと思います)。また、ビザの発給が取りやめられ、グリーンカードの処理に遅れが生じたり、一部発給が中止になったりと、出稼ぎ労働者にとっては不安になるようなニュースが続きます。

以前のように海外旅行ができるようになるのは来年移行になるのは間違いなく、日本に行くこともできないなどの残念な点もあります。それでもアメリカの失業者が2割を突破しようとしている中、少なくとも仕事があり、当面のアメリカ滞在はできるということで、これからもがんばっていきたいと思っています。

アメリカで携帯代を安くする

以前にアメリカのMNO比較について記事に書きましたが、今回はさらに携帯代を安くする方法について簡単にまとめてみます。特に外出が減っている昨今、家のWi-Fiを使うことがほとんどでしょうから、データ量の少ない安いプランに一時的に引っ越す効果は大きいと思います。

私の場合は4月のデータ通信量は0.14GBでした。

 

 

seattle-life.hatenablog.com

 

格安SIM

日本と同じように格安SIMがあり、店舗なしでオンライン限定、MNOに比べて優先度が低いので混雑時には速度が低下するなどの制限はありますが、月額課金を抑えることができます。また、使用するネットワークもいくつかあり、Verizon, AT&T, T-Mobile など、ネットワーク自体の特性は乗り入れ先に準じます。

海外ローミングをサポートしているものもありますが、平均的にGoogle Fiと比べても高めで、海外に行く場合には別の手段を選んだほうが良いでしょう。

携帯会社は無数にあるのですが、その中からいくつかの格安SIMの例を上げてみます。

Mint Mobile

www.mintmobile.com

T-Mobile のネットワークを利用したMVNOです。数カ月分をまとめ買いすると安くなるという特徴があり、最初の3ヶ月は契約特典で$15/3GB, $20/8GBなどですが、3ヶ月が経過すると値段が上がります。そして1年間前払いをすると値段が下がるがロックインされるというトレードオフがあります。

申し込むと郵便でSIMカードが届き、オンラインで有効化するとすぐに使えます。非常にスムーズでした。複数月まとめて払わないといけないのがネックで、毎月割引があるような特定のクレジットカードと相性が悪いので、今後は別のキャリアに移る予定です。

Visible

https://www.visible.com/

Verizonのネットワークを利用したMVNOです。データ量無制限で月$40と決して安くはないのですが、最大の特徴として友人などと契約を組み合わせると安くなる "Party Pay" というプランがあります。

この "Party Pay" は、単純に個別の回線をまとめて登録するだけで安くなるので、例えば請求や契約の管理も完全に別々です。4回線集めると月$25まで下がります。友人などとグループを組める場合にはお得だと思います。契約をするタイミング、解約をするタイミングも別々でよく、その都度料金が変わります。

海外利用が全くできない点には注意が必要ですが、Verizonのネットワークが無制限でこの値段なのは穴場だと思います。さらに、2020年5月現在、新規契約または契約と端末購入のセットでプリペイドカードがもらえるキャンペーンもやっています。

MNOの安いプラン

もう一つの手段は、MNOの安いプランを一時的に契約することでしょう。格安SIMほどの安さはありませんが、ネットワークの優先度が高いとか、どんなクレジットカードでも割引対象になる可能性が高いのは安心材料でしょう。

T-Mobile

https://prepaid.t-mobile.com/home

T-Mobile は2GBのプリペイドプラン T-Mobile Connect を月$15から販売しています。T-Mobile の通常のプランについてくるカナダやメキシコでの利用、ホットスポットなどが含まれないことに注意が必要です。

 

AT&T

www.att.com

1年間$300の前払いで、8GBの回線が12ヶ月間使える(1ヶ月あたり$25)というプランがあります。1年間縛られるというのは大きいなデメリットですが、カナダやメキシコでも利用できますから、国境付近に住んでいるなどの場合はメリットでしょう。

クレジットカードの割引を確認する

現在、特に旅行系のクレジットカードで、旅行ができない分の還元を別の方法で行う、というキャンペーンが多数行われています。一例ですが、American Express の Platinum の場合、2020年5月から12月まで毎月$20還元、というものがあります。

クレジットカードを何枚か持っている人は、自分の契約しているカードがなにかのキャンペーンをしていないか確認しましょう。

onemileatatime.com

まとめ

ここに挙げたものは一例で、実際には数十ものMVNOがあります。使うデータの量などによって最適なプランは変わってくると思いますが、前払い以外であればしょっちゅう携帯会社を変えても支障ありませんし、使い勝手の良いところを探していろいろ使ってみるのもいいと思います。

シアトルでのアパート探し(契約編)

アパートの物件探しについては以前に書いた記事を参照ください。

seattle-life.hatenablog.com

 

今回は住む物件を決めたあと、実際に入居するまでの実例を紹介します。

アパート契約の流れ

今回は大手不動産会社の物件に住むことにしたので、形式の整った手続きで契約・入居となりました。これが個人で大家をしているような物件に住む場合であればまた異なるかもしれません。

契約・入居までの流れはおおむね次のとおりです。

  1. 物件を決め、申込みをする
  2. 入居審査が行われる
  3. 契約書を受け取り、サインする
  4. 賃貸保険に加入する
  5. 初期費用を支払い、入居

順を追って見ていきましょう。

物件を決め、申込みをする

日本と同じように、物件を決めて入居する意思表示を行い、入居申し込みをすることが第一歩です。日本と異なるのはこの時点で申込み費用が発生し、キャンセル時には返却不可となることです。入居者一人に付き数十ドルというのが多いようでした。入居申し込みの際に身分証明書なども提出します。アメリカに来たばかりであればオファーレター、そうでなければ過去3ヶ月分程度の給与明細も審査のために要求されます。

私が契約した物件は大手会社だったためか、申込みはwebから行いました。と言っても内見のときに担当者の目の前でやったので、半分対面です。必要項目を入力して、クレジットカードで費用を支払い、申込み完了です。申込みの時点では契約書の本体は見ませんでしたが、契約の条件、費用などについてはよく確認しましょう。

シアトルでユニークなのは下水道接続費(Sewage treatment capacity charge)が毎月数十ドルかかるところです。これは建設された年によって異なり(基本は新しいほど高い)、15年で支払いが完了します。意外と大きな金額で、契約書をもらってから存在を知って驚きました。物件によっては光熱費が家賃に含まれていることもあるそうなので、念のため聞いてみると良いでしょう。

入居審査

入居審査は通常SSNに紐づくクレジットスコアなどをベースに行われるようですが、私は渡米直後だったのでSSNを持っていませんでした。そこで、雇用主や年収を証明するオファーレターをもとに審査が行われました。この際、信用が十分でないと追加のdeposit(敷金)を要求されたりするようです。シアトルでは海外から移り住んでくる労働者が多いので、その対応に慣れているようでした。「AmazonMicrosoft のような大手企業がどんどん外国人を採用するので、外国人労働者は全く珍しくない。それなりの年収があればまず大丈夫」とも言われました。

私の場合は通常400ドルのdepositで良いところ、追加で1ヶ月分の家賃相当額が必要になりました。非常に大きな差額ですが、東京の2ヶ月が相場の敷金と比べるとそれでも安く感じてしまいました。

入居審査にかかる時間はまちまちでしょうが、私はアパート見学が終わったあとその場で申し込んだため、すぐに係の人が審査結果を出してくれました。申込書の記入開始から時間にして1時間ほどの手続きで、アパートが押さえられ、入居可能な状態になりました。

契約書の受け取りとサイン

入居審査が完了したのち、数日で契約書が送られてきてサインをすることになります。ここは日本と異なり、 Adobe の Docusign で PDF が送られてきて、電子的に手続きが全て行われました。

日本のアパートの契約書は数ページから長くても十数ページのことが多いと思いますが、私が受け取った契約書一式は64ページありました。案内ページやチェックリストなどもあるので、すべて文字というわけではありませんが、なかなかの分量です。がんばって読みました。

私の契約した会社は全米アパート協会(National Apartment Association)の雛形契約書をそのまま使っていたので、強調されているところや自由記入欄に注意して読みました。全米アパート協会の標準契約書は次のようなフォーマットになっていて、空欄を埋めていく方式です。カスタムの契約書の場合には注意が必要でしょう。

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全米アパート協会の契約書雛形

賃貸保険に加入する

大手不動産会社であれば、加入の条件として賃貸保険(renters insurance)への加入が義務付けられていると思います。そうでなくても後々のトラブルを考えると加入がおすすめです。

申込画面で不動産会社が提携している保険会社を勧められましたが、非常に割高でしたので自分で探すことにしました。アメリカは州によって使える保険会社が異なります。ニューヨークなどであれば Lemonade がよくおすすめされているようですが、ワシントン州では契約できませんでしたので、私は何社か見積もりを出して最終的に State Farm にしました。選んだ基準は安かったことと、ネットでの評価が高かったことです。

保険に加入するときには、必要な賠償責任金額などが指定されると思うので、条件を確認しましょう。また、私の場合は不動産会社を party of interest に指定するように言われました。これは契約内容の変更、解約などが行われたときに通知が行くようにする仕組みのようです。指定通りの連絡先を保険会社に伝えれば大丈夫です。

保険業界の慣習だと思いますが、webで見積もりを出すとすぐに営業担当から電話がかかってきます。契約準備ができていなければ「複数社比較しているので申し込むときにはこちらから連絡する」と伝えて待ってもらいましょう。最終的な申込みのときは、電話口で口頭でクレジットカード番号を伝えることで料金を払いました。

保険の契約証書のコピーを不動産会社に提出すれば手続き完了です。

初期費用の支払いと入居

私の物件では入居の前日までに初期費用(初月分の家賃とsecurity deposit)を払うことが条件でした。支払いは専用のページから行うのですが、銀行引き落とし以外だと手数料がかかることもあり、銀行引き落としにしました。Auto Payという毎月の自動支払いを有効にしておくと払い忘れが無くて助かります。契約書には4日以上の遅れで自動的に債権回収会社に引き渡され、追加の手数料かかるとありました。十分注意しましょう。

入居日が決まったら、下記のような手続きをしておくとスムーズだと思います。

  • 引っ越し会社へ荷物搬入の連絡
  • インターネット接続の加入手続き
  • USPS(郵便局)への転居連絡
  • 会社への連絡

私の物件の場合は電気・ガス・水道の手続きは不動産会社が代行してくれました。また電気は直接支払いですが、ガスと水道に関しては不動産会社を経由して家賃と一緒に支払うので、手続きも不要でした。

入居のときに、日本と同じく立ち会いがあります。すでに付いている傷や故障などをきちんと確認し、チェックリストに記入してもらい退去のときに請求されないようにしましょう。また不具合に関してはきちんと直してもらいます(これは内見のときに直してもらえるか確認しておくと良いでしょう)。

以上がアパートを決めてから入居するまでの流れです。日本と大きく違うのは契約書周りと電気・ガス・水道などの手続きでしょうか。順を追っていけば難しいところは無いものの、書類が多くて大変でした。入居時のひと頑張りが入居中と退去時のトラブルを防ぐと思ってがんばりました。

アメリカで買える花粉症・アレルギーの薬

注意: この記事はあくまで個人の体験談であり、医療機関の受診や専門家からの情報の代わりになるものではありません。また、特定の医薬品を推奨するものでもありません。

日本で手に入る花粉症の薬は多くが処方薬で、私は毎月耳鼻科に通院して処方箋を書いてもらっていました。アメリカでは多くの薬がドラッグストアでOTCドラッグとして購入可能です。ジェネリックとして手に入るものであれば非常に安いです。

このページでは日本で手に入る薬がアメリカのドラッグストアで購入できるのかについて解説します。効用などは薬剤師、医師などの専門家にご相談ください。

書かれている情報は2019年3月現在の個人の調査に基づいています。

OTCとして入手可能

クラリチン (Claritin)

一般名(ジェネリック)はロラタジンです。英語ではLoratadineと書きます。日本と同じく、アメリカではOTCで購入可能です。ドラッグストアに行くと一番目立つところに置いてあり、各種プライベートブランドも充実しています。

Amazon で探すと、安いものだと365錠入り13ドルというものもありました。最も安く手に入る第2世代抗ヒスタミン剤の一つだと思います。

ザイザル (Xyzal)

一般名はレボセチリジン(Levocetirizine) です。日本では処方薬ですが、アメリカでは2017年にOTCとして承認され、ドラッグストアで購入可能です。ジェネリックも売っているのですが、今のところ先発薬とあまり大きな価格差は無さそうです。

新し目の薬なので高いです。Amazonでは80錠入りが27ドル程度で購入できます。1年間毎日飲み続けると130ドル程度ですね。

ジルテック(Zyrtec)

日本では2019年3月現在処方薬のみですが、アメリカではOTC薬としてドラッグストアで購入できます。一般名はセチリジン(Cetirizine)です。

ジェネリックを購入した場合はザイザルと比べると相当に安く、Amazonで365錠入り16ドル程度というものもありました。先発薬はかなり高く、ザイザルと比べても割安感がありませんでした。

アレグラ(Allegra)

日本ではOTC薬としても承認されているメジャーな薬ですが、アメリカではクラリチンのほうが棚の目立つところにあることが多い気がします。一般名はフェキソフェナジン(Fexofenadine)です。

Amazonジェネリックが180個30ドル程度です。クラリチンより割高のようですが、もし日本で飲んでるものと同じものを続けたいと言うときにはドラッグストア、通販で入手可能です。

OTCとしては入手不可能

アレロック

日本ではかなりメジャーな薬ですが、アメリカではドラッグストアでは売っていません。調べた感じでは処方薬も目薬ばかりがヒットしました。

デザレックス

アメリカでのブランド名はClarinex、一般名はDesloratadineですが、2019年3月現在OTCとしては手に入らず、医師の処方が必要です。

タリオン

日本ではメジャーな薬ですが、アメリカでは処方薬としてのみ入手可能です。調べた感じでは目薬ばかりがヒットしました。

ビラノア

日本で手に入る処方薬ですが、アメリカでは2019年3月現在FDAにより承認されておらず、入手できません。

HSA/FSAを使う

アメリカの医療保険によっては、HSA、FSAといった税優遇措置のついた医療費口座を開設することができます。これらの花粉症・アレルギーの薬は医者の処方箋があればHSAやFSAから支払うことができるようです。

私はかかりつけ医に処方箋を書いてもらいました。処方箋を書いてもらうのですが、薬局で処方薬を買うわけではなく、実際に購入するのはOTC薬になります。

詳しくはIRSの解説を参照してください。