シアトルぐらしのソフトウェアエンジニア

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アメリカおすすめの銀行口座(Schwab, Fidelity, SoFi)

アメリカの銀行口座は、日本の都市銀行に相当する大手銀行(Chase, BofA, Wells Fargo など)はどこも条件を満たさないと口座維持手数料がかかる場合が多く、多くの場合において日本と同じくいわゆる「ネット銀行」を使うほうが良いサービスを受けれます。 最近かなりリサーチしたので、私の使っているおすすめ銀行をここに記します。情報はすべてこの記事を書いている 2022年9月18日現在、私の個人的な調査に基づくもので、正確性は保証しません。

また Schwab はメインで長らく使っていたけど、他の2つは使用し始めたばかりなので、情報量に偏りがあるかもしれません。

選ぶポイント

選ぶポイントは人によって優先度が異なると思いますが、私の場合は

  • カスタマーサポートの良さ
  • 金利1の高さ
  • 小切手帳ふくめ各種手数料が無料
  • ATM がどこでも使える
  • Web/アプリの完成度

などを重視しています。一般に評判が良いと言われる10行2ほどを細かく見ましたが、最終的に3行が評価に生き残りました。

銀行名 金利 ATM 小切手帳 サポート アプリ
Charles Schwab 0.25% 全世界無料 完全無料 良い 良い
Fidelity 1.20% 全世界無料 完全無料 良い 普通
SoFi 2.00% 系列のみ無料 週に25枚無料 普通 イマイチ

これらの銀行は証券口座を開くこともできますが、証券口座は今回の評価に入っていません。

アプリの出来は主観的も入ると思いますが、評価基準は次のとおりです。なお iPhone アプリのみで Android はわかりません。

  • 起動したときの一画面目で残高がわかりやすく表示されるか
  • 何タップで取引履歴にたどり着けるか
  • 画面の見やすさ

Charles Schwab

Charles Schwab は同名の証券会社傘下の銀行で、シアトルに住んでから現在まで、メインの口座として使用してきました。Webとアプリは使いやすく、24時間チャットサポートが使えて電話をすることなく多くの疑問が解決するのが素晴らしいです。 また、手数料が非常に安く、小切手帳が無料は当然のこと、全世界どこでキャッシュカードを使ってもATM側の手数料も含めて後日返金され、為替手数料もかかりません。 例えば日本に行った時、コンビニや銀行のATMを使ってアメリカの口座から手数料無しでお金を下ろすことができ、非常に便利です。

機能面も充実していて、定期的に決まった金額を特定の宛先に送金することができ、casher's check も無料などお財布口座にはまさにぴったりと言えます。 私はメインの証券口座を Schwab で持っているので、一箇所で完結するのもポイントです。

そんな Schwab を使うのを減らそうと思ったのは、まさに金利が理由です。 0.25% という水準は大手銀行と比べると高いものの、 Fidelity の 1.20% や SoFi の 2.00% と比べると見劣りします。 例えば一年間の平均残高が $10,000 あるとすると、 $10,000 * (2.00% - 0.25%) = $175 の機会損失があることになります。 Schwab のサービス水準は非常に高いものの、年間175ドルを支払って口座を維持していると考えると、はたしてそこまでの価値があるのかと思い見直すことになりました。

新しく口座を開設する人に注意が必要なのは、この銀行口座は証券口座とセットでないと開けないことです。 Schwab の証券口座は維持費も不要で手数料も安いので、セットでおすすめですが、純粋に銀行口座だけ欲しい人は少しマイナスかもしれません。

それでも今でも強くおすすめできる銀行の一つです。 もし申し込んでみたいと思った方は、こちらの 紹介リンク からぜひどうぞ。$25,000 口座に入れると $100、最大$1,000 のボーナスがもらえます。

Fidelity

Fidelity は Schwab と並ぶ評判の良い証券会社で、人気を二分しています。手数料やサービスも互角で、24時間いつ電話してもすぐにサポートと会話することができます。 こちらは正確には Cash Management 口座と言う名前で、Fidelity 自身が銀行となるのではなく、FDIC 補償のある複数の銀行に資金をプールするという形を取っていて、合計 $1.25 million まで補償が効くのが特徴です。 そのため振込などの場合の銀行名はFidelity ではなく UMB Bank と表示されます。 ただ、銀行としての機能に違いはなく、小切手やデビットカードは通常通り発行されます。定期送金、無料小切手帳などのサービスもあります。 ATM 引き出しも全世界無料で、手数料キャッシュバックもあります。

Schwab と比べたときの大きなプラスは金利で、2022年9月18日現在 1.20% で、$10,000 の平均残高に対して $95 余分に金利がつくことになります。さらに、証券口座にある現金に対する利率が Schwab は 0.25% なのに対し Fidelity は 1.9% と savings 口座と比べても遜色のない金利が付きます(証券口座については FDIC 保証はありません)。また、Cash Management 口座の残高が足りないときに自動的に無料で証券口座からお金を移す機能があるなど、お金を寝かさなくて良い仕組みになっています。

Schwab と比べた際のマイナスは、細かい使い勝手が Schwab のほうが上だと感じることです。 例えばアプリを使うときに認証が切れていると、Schwab は自動的に Face ID が動くのですが、Fidelity は画面下のログインボタンを押さないといけない場合があったり、取引履歴に行くためには一タップ多く、口座を選んでからさらに Activities を選ぶ必要があるなどの違いがあります。 また、カスタマーサポートに電話をするときに web のパスワードをテンキーで打たされることがあるのがかなりストレスです。これは Fidelity MyVoice という音声認識のサービスに登録しておくと打たなくていいのですが、それでもサービスを実装するときにそういう発想になるのがいまいちだと思います。 Web サイトも使う機能によって微妙にデザインの違うシステムを行き来したり、戻るボタンが使えなかったりするなど、少しずつ洗練されていないと思うことがあります。

それから、デビットカードはATMで引き出すときには為替手数料はかかりませんが、海外で米ドル以外の買い物に使うと 1% の手数料がかかります。Schwab は買い物も為替手数料が無料です。

一度設定してしまえばカスタマーサポートに電話をすることはほとんど無いし、デビットカードでの海外での買い物は年に一回も無いことを考えると、金利を考えるとかなりお得なのですが、もう少し細かいところで良くなって欲しいと思う銀行です。

Fidelity には紹介リンクはありませんが、定期的にキャンペーンをしています。2022年9月18日現在、証券口座とCash Management口座をセットで開いて$100入金すると、$50もらえるというキャンペーンがあります。

SoFi

SoFi は上記2つの銀行とは毛色が違い、2011年に創業したオンライン重視の比較的新しい銀行です。24時間サポートはありませんが、週末も含めた昼間の電話とチャットサポートがあります。 Schwab と Fidelity と一線を画すのは金利です。APY 2.0% というのは savings 口座を含めても非常に高く、月に一度の direct deposit が必要ですが金額要件は無いので、給与振込を $1 向けるだけで簡単に達成できます。 一年あたり $10,000 の平均残高に対して $200の利息が付き、Schwab より $175 多く、Fidelity より $80 多いです。 これを「不便を乗り越えて使う価値がある金額」と取るかは人それぞれですが、決して無視できない金額であるとは思います。

小切手帳も無料(週25枚の制限はありますが実用上問題は無いでしょう)で、口座維持手数料もありません。ただし、ATM は提携している Allpoint のATMしか手数料無料ではなく、海外で使うのにも不向きです。 これは旅行するときに必要なお金を Schwab や Fidelity に預けておくことで簡単に回避できますが、少し考えることは増えます。

この銀行のマイナス点は、ゲーミフィケーションを通じてポイントを得るシステムになっているので、例えば7日間毎日アプリでログインすると20ポイント($0.20相当)など、細かくポイントが付くところです。 見ようによってはプラスかもしれませんが、細かいポイントで行動を迫ってくるのではなく、基本的なサービスで還元してほしいと感じます。

また様々なシステムが、すべて SoFi に囲い込みを図るようにできているのも少し辛いと感じます。 例えば毎月決まった金額を別の口座に送金するという機能はありません。取引履歴を CSV でエクスポートすることもできません。これらは Schwab や Fidelity は当然のこと、多くの銀行でサポートされていることです。 アプリを起動したときの画面にも、銀行の他にクレジットカード、ローン、クレジットスコア、投資など様々なメニューがごちゃっと表示されて、単に銀行としてだけ使いたい場合にはノイズが多いインタフェースとなっています。 取引履歴に行くにも、Banking → Checking → View more transactions と一番動作が多い仕様になっています。

単純に一定の残高を保った家計の口座として使うにはかなり優秀だと思いますが、アプリの通知の多さなど少し気が散る仕様になっているのが残念なところです。

そんな SoFi ですが、9月いっぱいは口座開設と direct deposit (給与振込)によって最大 $300 、紹介ボーナスも含めると $325 もらえるキャンペーンをしていますので、とりあえず試してみるのはおすすめです。

まとめ

私は Schwab が総合点では今も一番高いと思うものの、金利差という潜在的な機会損失があるので他の口座を試している状態です。 ログインする頻度、使うサービスなど人それぞれだと思うので、ぜひどの銀行も試してみてください。 手数料はどの銀行もかかりません。

特に今まで大手銀行を使っていた方は、Schwab はほとんどの面で上だと思います。なにか質問があれば @Yuryu までいつでもどうぞ。


  1. この記事に登場する金利は2022年9月18日現在で、APY を指す。

  2. Charles Schwab, Fidelity, SoFi に加え Discover, Capital One, Ally, M1 Finance, Betterment, Alliant, T-Mobile など。